滲出性中耳炎
原因
原因は様々あるのですが、特にお子様の場合に考えられるのは、急性中耳炎からの移行です。
急性中耳炎が治り切らずに、中耳に溜まっていたウミが滲出液として留まってしまうものです。
そもそも耳管(鼻と耳をつなぐ管)の働きが悪い為にそうした滲出液を排出できないということもあり、耳管狭窄症や副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎などを合併している場合が多いです。
症状
急性中耳炎は痛みや熱が出たり、子供の場合には保護者の方が驚くような急激な症状をお子様が訴えるため、比較的察知しやすいのですが、
急性中耳炎
気付きやすい
滲出性中耳炎
気付きにくい
滲出性中耳炎は親が気づかないところで軽度の難聴があったり、急性中耳炎の原因になる場合もあります。
この軽度の難聴、というのが患者さんによって様々で、日常生活にほとんど支障の無いようなものから、治療の是非を迷うものまであるため、滲出性中耳炎の治療見解がドクター毎で分かれるのもやむを得ないのかも知れません。
逆に急性中耳炎の方が、どろっとした液が細菌の入っていない滲出性の液に代わると、滲出性中耳炎になる場合もあります。
滲出性中耳炎については数週間で治る場合もあれば、何ヶ月~何年も続き難聴を引き起こす場合があります。
検査
聴こえの程度を調べる「聴力検査」や鼓膜の働きを調べるティンパノグラム滲出性中耳炎を持った患者さんは耳管機能が悪いことが多く耳管機能検査(耳と鼻をつなぐ管の働きを調べる検査)を行っています。
またチューブ留置術を実施した患者さんについてもそのチューブを抜去する時期を判断するために耳管機能検査を実施して状態を客観的に判断することができます。
治療法
鼓膜の状態を見ながら、症状に応じて薬を処方するかどうかを決定します。
約3ヶ月程度、投薬や耳管通気をしても改善が無い場合は鼓膜の状態及び難聴の程度を判断し鼓膜切開、チューブ留置術を検討します。
一方で、滲出液の貯留はあるものの、鼓膜の状態や難聴、自覚症状(耳の詰まった感じなど、子供であれば耳を触るなど)がさほどひどくない場合は月に1度程度通院していただき、状況を観察しながら1年程度のスパンで自然治癒を促すことも行っています。
一部では「耳管通気を行っても滲出性中耳炎は治らない」という意見がありますが、耳管通気により一時的にでも滲出液が排出することで、粘膜の換気の改善を促すことができます。
詳細は「耳管通気についての見解」をご覧ください。
滲出性中耳炎の滲出液の中に「エンドトキシン」という毒素が内耳に移行し、内耳性難聴の原因となると言われており聴力検査のできる子供は痛みが治まってから、検査をお勧めしております。