痛いけどよく効く Bスポット療法
Bスポット療法とは
鼻の奥の口蓋垂(通称のどちんこ)の後ろの部分に、上咽頭(鼻咽腔)という部位があります。呼吸をするたびに空気は必ずこの部位を通過するため、この上咽頭(鼻咽腔)は空気中のホコリや細菌、ウイルスの溜まり場となり、炎症を起こしやすい部位の一つとなっています。風邪の初期に喉が痛いと思ったら上咽頭(鼻咽腔)が腫れていることが多々あります。この鼻咽腔に塩化亜鉛という消炎剤を塗布する治療法がBスポット療法といわれています(Bスポットの「B」は鼻咽腔の頭文字のBです。)。
Bスポットは、のどが痛い時に耳鼻咽喉科でドクターがお薬をつけたりスプレーをする部位ではなく、それよりも少し上の部位に当たります。
実はこの上咽頭(鼻咽腔)への治療をするドクターは耳鼻咽喉科の中でも決して多くはなく、内科や小児科ではほとんど治療をされてこなかった部位です。たくさんの方が風邪のひき始めでのどがイガイガするなどと感じたことがあると思いますが、それはまさにこのBスポットが炎症を起こしているのであり、この手が届きそうで届かない部位なのです。風邪が悪化する前や、風邪をひいたかもしれないと思ったうちに上咽頭(鼻咽腔)を治療しておくと風邪の治りが早くなります。
当院ではBスポット療法を行う前に、上咽頭や鼻の状態を確認するするため、内視鏡検査を行います。また、Bスポット療法を的確に行うためにも、ファイバースコープを鼻から挿入し、鼻から塩化亜鉛を入れる場合と従来通り口から1%塩化亜鉛液を塗布した咽頭捲綿糸を、お口を通して鼻の奥のBスポットに大きな曲がった綿棒を使用して上咽頭に十分に塗布します。塗布している際は、率直に申し上げて「痛い」です。風邪によるのどのイガイガに対しては1回の治療で治ることもありますが、頭痛や頭重感・目の奥の痛み・頑固な鼻づまり・肩こりといった症状に対しては週1~2回の治療を10~15回続けることをお勧めしています。上咽頭の状態が良くなり、綿棒を塗布しても出血が少なくなったり無症状であれば治癒したと考えています。
塗布した後は数時間ヒリヒリしますが、その後はすっきりと症状が改善します。しかし、この痛みが強いほど、後の治りが良かったという声が多いです。
このBスポット療法は乳幼児から大人の方まで治療できます。上咽頭(鼻咽腔)の局部のみの治療ですので、妊娠中の方や授乳中の方にも安心してご利用頂けます。
実はこのBスポット、人間の免疫機能の要所であると言われており、この部分をBスポット療法で刺激することで、のど風邪以外にも様々な症状、疾患の改善が報告されています。
Bスポット療法の効果
- のどからくる風邪
- 頭痛を伴う肩こり
- アレルギー性鼻炎
- 後鼻漏
- 片頭痛
- めまいや耳鳴、ぜんそく、掌蹠膿疱症、IgA腎症などにも効果があるという報告あり
Bスポット療法とアレルギー性鼻炎(花粉症)
吸い込んだアレルゲン(花粉・ダニ・ハウスダスト)を鼻の粘膜に付着すると鼻水や鼻づまりを引き起こしますが、上咽頭に付着するとのどがイガイガしたり、のどの炎症の原因となります。花粉症を含むアレルギー性鼻炎の方でくしゃみ・鼻水・鼻づまり以外にのどの痛みを訴える方には上咽頭炎を併発していることが多いです。花粉症のような季節性アレルギー性鼻炎だけではなく、ダニやハウスダストなどの通年性のアレルギー性鼻炎の方もBスポット療法で上咽頭の炎症を治療すると、アレルギー性鼻炎(花粉症)が日常よりも軽くなったという方もいらっしゃいます。
Bスポット療法と後鼻漏
後鼻漏(こうびろう)とは鼻水が鼻の方へ流れるのではなく、のどに落ちる症状のことを言います。例えば風邪をひいた時に鼻をかんでも鼻水がでず、痰がよくからむといったことを経験をされた方も多いかと思います。これは外から侵入したウイルスや細菌が上咽頭に炎症を起こし、ネバネバした鼻水が上咽頭に溜まっているとことがあります。風邪をひいてこのような後鼻漏が長期間続く場合は上咽頭の炎症を抑えるBスポット療法をお勧めします。
Bスポット療法の注意点
- 炎症が強い方ほどヒリヒリ感が強く、痛みが持続します。そのような方ほど炎症が強いので治療を継続していただく方が良いです。炎症が治まってくれば痛みも和らいできます。
- 治療後1時間前後は時に血の混じった鼻水や痰が増えますが心配はありません。
- まれに治療後に頭痛がしたり、アトピーなど皮膚症状が一時的に悪くなることがありますが、上咽頭(鼻咽腔)の炎症が強いことが原因です。
- Bスポット療法は現在の治療を補助する治療とお考え下さい。現在の対象疾患の治療を継続しながら並行して行うのが良いでしょう。