痛いけどよく効く Bスポット療法
Bスポット療法とは
鼻の奥の口蓋垂(通称のどちんこ)の後ろの部分に、上咽頭(鼻咽腔)という部位があります。呼吸をするたびに空気は必ずこの部位を通過するため、この上咽頭(鼻咽腔)は空気中のホコリや細菌、ウイルスの溜まり場となり、炎症を起こしやすい部位の一つとなっています。風邪の初期に喉が痛いと思ったら上咽頭(鼻咽腔)が腫れていることが多々あります。この鼻咽腔に塩化亜鉛という消炎剤を塗布する治療法がBスポット療法といわれています(Bスポットの「B」は鼻咽腔の頭文字のBです。)。
Bスポットは、のどが痛い時に耳鼻咽喉科でドクターがお薬をつけたりスプレーをする部位ではなく、それよりも少し上の部位に当たります。
実はこの上咽頭(鼻咽腔)への治療をするドクターは耳鼻咽喉科の中でも決して多くはなく、内科や小児科ではほとんど治療をされてこなかった部位です。たくさんの方が風邪のひき始めでのどがイガイガするなどと感じたことがあると思いますが、それはまさにこのBスポットが炎症を起こしているのであり、この手が届きそうで届かない部位なのです。風邪が悪化する前や、風邪をひいたかもしれないと思ったうちに上咽頭(鼻咽腔)を治療しておくと風邪の治りが早くなります。
Bスポット療法はすぐに終わります。塩化亜鉛もしくはルゴール液を染み込ませた綿棒を口の中から上咽頭に十分に塗布するのですが、塗布している際は、率直に申し上げて「痛い」です。
塗布した後は数時間ヒリヒリしますが、その後はすっきりと症状が改善します。しかし、この痛みが強いほど、後の治りが良かったという声が多いです。
このBスポット療法は乳幼児から大人の方まで治療できます。上咽頭(鼻咽腔)の局部のみの治療ですので、妊娠中の方や授乳中の方にも安心してご利用頂けます。
実はこのBスポット、人間の免疫機能の要所であると言われており、この部分をBスポット療法で刺激することで、のど風邪以外にも様々な症状、疾患の改善が報告されています。
Bスポット療法の効果
- のどからくる風邪
- 頭痛を伴う肩こり
- アレルギー性鼻炎
- 後鼻漏
- 片頭痛
- 耳管機能障害(耳管開放症・耳管狭窄症)
- 新型コロナウイルス後遺症、めまいや耳鳴、ぜんそく、掌蹠膿疱症などにも効果があるという報告あり
新型コロナウイルス後遺症におけるBスポット療法の有効性
新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)は、新型コロナウイルス感染症に罹患した後に、感染性は消失したにもかかわらず、他に原因が明らかでなく、罹患してすぐの時期から持続する症状、回復した後に新たに出現する症状、症状が消失した後に再び生じる症状の全般を指しています。
新型コロナウイルス後遺症の代表的な症状には、疲労感・倦怠感、咳、頭痛、嗅覚障害、味覚障害などがあります。
新型コロナウイルス後遺症の原因のひとつとして考えられるのは、熱が下がったとしても、ウイルスが上咽頭に残っていて炎症を引き起こしている場合です。上咽頭には「喉」や「内臓」などの神経が集中しているため、炎症があると身体の至る部分に症状が現れるといわれています。
そのためBスポット療法によって上咽頭の炎症を抑えることで、新型コロナウイルス後遺症の症状を改善できる可能性があります。
Bスポット療法の注意点
- 炎症が強い方ほどヒリヒリ感が強く、痛みが持続します。そのような方ほど炎症が強いので治療を継続していただく方が良いです。炎症が治まってくれば痛みも和らいできます。
- 治療後1時間前後は時に血の混じった鼻水や痰が増えますが心配はありません。
- まれに治療後に頭痛がしたり、アトピーなど皮膚症状が一時的に悪くなることがありますが、上咽頭(鼻咽腔)の炎症が強いことが原因です。
- Bスポット療法は現在の治療を補助する治療とお考え下さい。現在の対象疾患の治療を継続しながら並行して行うのが良いでしょう。