呼気NO検査について
呼気NO検査(一酸化窒素検査)とはなんですか?
呼気に含まれる一酸化窒素の濃度を測定することで「喘息(ぜんそく)の有無」を診断する検査です。
「喘息と診断されたことがない」「よく聞く喘息の症状もない」という状態でも、実は「喘息(ぜんそく)」だったということもあります。これを「隠れ(かくれ)喘息」と言います。
呼気NO検査は2013年より保険適用となり、奈良県内ではこの検査ができる医療機関はまだ少ない状況です。
喘息(ぜんそく)とは、どのような病気?
喘息は、鼻腔(びこう)・口腔・喉頭(こうとう)・気管・気管支などの肺に通じる空気の通り道(気道)が、アレルギーなどが原因で炎症を起こし、炎症によって気道が敏感になり、痙攣(けいれん)を起こして狭くなる病気です。
喘息(ぜんそく)の症状
- 咳き込む
- 呼吸時にのどが「ゼーゼー、ヒューヒュー」いう喘鳴(ぜんめい)が出る
- 呼吸困難(呼吸が苦しくなる)
- 発作性の激しい咳、痰がでる
- 急に動けなくなる
- 夜間や早朝に咳や喘鳴などの症状が出やすい
- 喘息症状で夜間、目が覚める
- 胸の痛み
- 動悸、息切れ
- 背中の張り
- 空咳
喘息(ぜんそく)というと「子どもがかかる病気」という認識はございませんか?
もしくは、子どもの頃に喘息と診断され、大人になった今でも持病としての喘息であり、
“大人になってから喘息(ぜんそく)になるわけがない!”
と思われていませんか?
喘息(ぜんそく)は、大人でも発症する病気です。
特に大人で喘息(ぜんそく)が発症すると治りづらい場合もあります。
長引く咳の場合は、喘息(ぜんそく)の可能性もありますので要注意になります。
以下の内容に当てはまる方は注意が必要です。
■3週間以上、咳が続く
症状が起こりやすい時・状況
- 深夜~明け方にかけて
- 風邪をひいた後(熱はない状態)
- 激しい運動をした後
- 夜、寝ようとした時
- 天気がよくない時、変わりやすい時
- 疲れている時
- 風邪をひいた時
- 会話の話始めや会話の途中
- 冷たい空気を吸った時
- タバコを吸った時
- 煙を吸った時
■白い痰(たん)が出る
■熱は出ていないが咳が出る
■タイミングが決まった咳が出る
■毎年決まった季節・時期に咳が出る
- 季節の変わり目等の気温差が激しい時
このような場合に、呼気NO検査(一酸化窒素検査)を行います
- 喘息(ぜんそく)の疑い(隠れ喘息の可能性)がある方
- 舌下免疫療法(シダトレン)をご希望の方
※喘息(ぜんそく)の治療を実施している方で、治療効果を見るために定期的に行います。
どんなメリットがありますか?
- 呼気NO検査(一酸化窒素検査)は治療の経過を診る(気道炎症の程度を測る)ための指標になります。
- 喘息もしくは隠れ喘息(喘息の疑い)のあるかどうかの判断基準になり、適切な判断ができるようになります。
※特に、花粉症(スギ花粉が原因の場合)の治療法の1つである、舌下免疫療法(シダトレン)を希望される方、かつ、喘息(ぜんそく)もしくは隠れ喘息(喘息の疑い)のある方は、アナフィラキシーショック等の副作用の関係から、舌下免疫療法の治療を受けることができません。 - 今まで喘息(ぜんそく)と診断されたことがないが、実は隠れ喘息であるということがわかります。
※長引く咳をしている場合、もしかすると喘息(ぜんそく)である可能性もあります。咳という症状が、喘息による咳なのか、そうでない咳なのかを判断することができる検査です。 - 2013年度から保険適用になり、検査の所要時間も約2分と短時間での検査が可能です。
喘息(ぜんそく)管理における呼気NOの有用性
呼気NOは喘息(ぜんそく)で上昇し、呼気NOは喀痰(かくたん:痰を吐くこと、または吐いた痰)中の好酸球数や気道過敏性と密接な関わりがあることから、喘息(ぜんそく)の診断を補助することに役立つ指標として考えられています。吸入ステロイドによる呼気NOの減少が閉塞性障害や気道過敏性の改善と関わりが深いため、喘息治療の目安としての手がかりにもなります。
呼気NO検査(一酸化窒素検査)の仕方(ご理解いただきたいこと)
当院の呼気NO検査(一酸化窒素検査)の手順については、下記の通りです。
- まず、リラックスしてイスに座ります。
- 思いっきり息を吐き出します。
- その後、専用機器のマウスピースをくわえ、大きく息を吸い込みます。
※ゆっくりと落ち着いて吸い込んでください。
※正しくできていれば、「表示の雲がだんだん大きくなります。」 - マウスピースをくわえたまま、一定の速度で10秒ほどかけて息をはきだしてください。
※正しくできていれば、「表示の雲が枠内におさまります。」
※呼気NO検査(一酸化窒素検査)の所要時間は、約2分です。
呼気NO検査(一酸化窒素検査)結果の基準値
以下の表にある基準値を超えると「隠れ喘息」の可能性があります。
患者状況 | 呼気NO基準値 | |
---|---|---|
現在の喫煙 | 鼻炎 | |
なし | なし | 22ppb |
あり | なし | 18ppb |
なし | あり | 28ppb |
あり | あり | 22ppb |
出典:呼気NO(一酸化窒素)測定ハンドブック第2版
※喫煙と鼻炎の有無も判断基準値に関わってきます。
診療の際に、わかる範囲で喫煙・鼻炎の有無をお伝えください。