当院の中耳炎治療の方針

見解が分かれる中耳炎治療

近年では耐性菌の出現により乳幼児の中耳炎が治りづらくなっている現状が感じられます。

当院では出来る限り中耳炎ガイドラインに沿っておこなっておりますが、環境体質等、個々により差があり患者さんの病態がバラエティに富んでいるため、オーダーメイド治療が必要と考えています。
ですので、その病状に沿って、医学的根拠と経験に基づき診療を行っています。

耳鼻咽喉科専門医でも見解が分かれる、下記の治療法について、当院における見解を述べたいと思います。

鼓膜切開とは?

鼓膜切開は、中耳炎によって鼓膜が腫れたり、痛みが強い場合に鼓膜をわずかに切開することで、膿や貯留液を排泄し、熱を下げたり、また中耳の換気を行うことを目的に行うものです。

耳鼻咽喉科専門医の間でもその是非について見解が分かれる面があります。
当院においては、「なるべく鼓膜切開はせず」、耳や鼻の処置や投薬を工夫しながら治療を行っております。

ただし、機嫌が悪かったり、高熱が続いたり難聴が疑われる場合にはお子さんの場合であれば、生活環境の考慮や保護者の方とのご相談の上で、 早期に切開を進める場合もあります。

例えば・・・

  1. 飛行機にのる場合など、早めに排膿を促し中耳内の換気状態を改善し 機内で不機嫌になったり痛みが出ないことを期待して積極的に旅行前に 切開を勧めるような場合など
  2. 発熱で小児科にかかっていたが、お薬を服用していても なかなか熱が下がらず機嫌が悪い場合

チューブ留置術とは?

鼓膜切開を何度か実施しても滲出性中耳炎が改善しない場合に、鼓膜に小さな穴をあけ、そこにチューブを挿入し設置することで滲出液の排泄を促し、中耳の換気を良好に保つための手術です。

チュービングに関しては鼓膜切開を3回~4回繰り返さなければいけないような反復性中耳炎や難治性中耳炎に対してお勧めしており、その上で中耳粘膜の正常化を目指しています。

チュービング実施の際には子供については病院へのご紹介を行い、大人に関しては院内にて局所麻酔の上、実施しています。

原則的には中耳炎そのものが時間の経過と共に改善する例が多く、チュービングの必要性がある子供は減少しています。

しかし長引く、あるいは再発する中耳炎についてはチュービングにより中耳内の換気の改善及び粘膜の正常化が望まれるため、有効であると考えています。

耳管通気とは?

耳管通気は、子供にはポリッツェル球にて大人では通気管を利用し、中耳の換気をよくし、耳管という管に空気を送り込む治療法です。

滲出性中耳炎の方に、滲出液の排出を促すために週に1~2回程度行っております。

「滲出性中耳炎に耳管通気は効果がない」
として、通気療法を行わない耳鼻咽喉科専門医の先生もいらっしゃいます。

耳管通気により一時的にでも滲出液が排出することで、粘膜の換気の改善を促すことができます。

皮膚が呼吸しているように粘膜も呼吸が必要であると考えておりますので、例えて言うならば「溺れた粘膜が息ができるようになる」のです。
そうすることで粘膜の正常化を促すことができるので、当院においては耳管通気については滲出性中耳炎の治療の上で有用性があるものとして実施しています。

特に耳閉感及び難聴の訴えのある耳管狭窄の患者さんには通気後即時にそれらの症状が改善されるため喜んで頂いております。
内耳が原因の難聴か、中耳が原因の難聴かを鑑別するためにも有用です。

お子さんなど聴力の低下が学習や日々の生活に影響を及ぼすような多感な時期においては、出来る限り聴力を正常に保ってあげることが大切だと考えていますので、そういった観点からも通気治療はやはり有効であるというスタンスを採っています。

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